​ようこそ”ボクたちの村”へ

​ようこそお越しなして、竹田さん

”七笑い合唱団”の取材で竹田さん(奥様の佳世子さん)にお会いしたのが初めてでした。移住して間もないのに皆さんと和やかに雑談されている姿に共感を抱き、いつかゆっくりお話できればと願っていました。今回<かばたサイト>の取材に快く協力いただけると聞き大変うれしく思いました。お二人はどのようなお方で、どんなお話をお聞きできるだろうかと…楽しみで、また最近感じたことのないドキドキした胸の高鳴りを抑えながらおじゃましました。

3月末の頃でした。手入れされた庭には水仙 サクラソウ ムスカリ パンジーなどの花々が咲き、玄関に案内されるとアレンジフラワーの作品の数々が、緊張の糸を解してくれます。

​しばらくするとお二人の気さくで明るい人柄にすっかり引き込まれ、話が弾み楽しいひと時でした。

​現在の飯高町の移住可能な空き家バンクの登録件数は、7件です。受け入れる側の私達が何か再発見また知恵をいただけるのではないかと今回ご紹介させていただきます。

打ち明けられた時、もうびっくりしましたよ!

​長年教職に就いていたご主人の茂さんでしたが、自然豊かな山村で田畑を耕作したい夢を捨てきれずある日、奥さんに打ち明けたという。それはもう佳世子さんはびっくり。「幼稚園に務めていたんですが、子供達も社会人になったし定年を迎えたら自分の趣味に没頭し友達との旅行等…ゆったりとした老後を過ごしていきたいと思っていたんですよ」でもご主人の幾度となく説得する熱意は強く、次第にサポートしようと決意を固めたそうです。  

茂さんは退職と同時に同僚の方の田んぼを借りお米作りのノウハウをしっかり体験しつつ、田畑付きの古民家をネットで探し続けました。

​その頃の茂さんの姿は夢に向かって活き活きしていたそうです。(もちろん今も溌剌として見えます)

​最初ここはスルーしていたんですよ

​田舎暮らしの物件を隈なく探しましたよ。住んでいる奈良の家を拠点に姫路 丹波 三重 和歌山と気に入った場所があれば現地に何度も何度も訪れて足を運びました。この家も凄く気に入っていたんですが、予算が合わずスルーしていたんです。しばらくしてからふと見ると値段も下がっていて、これなら買えるかもと家を見に来ました。平成26年の秋の頃でした。まだこの家の方が住んでいていろいろお話をお聞きし、直ぐに決心したんです。

諦めていたんですが、ふとまた思いついたようにこの家にアクセスしたというのが、縁があったように思いますね。それと主人が高見峠を越えこの地を通り、伊勢の方へよく釣りに行っていたんです。土地勘もありこの山村の風景に惹かれていったのも、選んだひとつかも知れませんね。

早速リフォームに取り掛かり、暮れにはこちらに住んでいましたね。奈良よりすごく寒いなーと思いました。

部屋のあちこちに何台もストーブをつけましたよと笑う佳世子さん。

憧れていた田んぼ4反、畑2反半付きの古民家田舎暮らしが始まります

田畑付きの古民家の物件を探すときは、家の近くに田んぼがあるのが一番の条件だったんやわ。あちこち行きましたが、ほぼ僕の思い描いていたところでした。田んぼの水は湯谷川から引いているし、この水はほとんど生活排水が流れてなくてきれいやし、最高にうれしいんですよ。でもなあ、僕とこの田んぼが最後やから雨の少ない時はドキドキですわ。

それとちょっと欲を言えば、ご近所さんはほとんど水道の水以外に、山から引いている水があるんやけど僕とこだけがないんやわ。山の水も憧れていたんやけどなあー。

茂さんは早速トラクターを購入。畑の大半は茶畑でしたが近所の方から使わないからと茶刈機をいただきました。茶も無農薬で作っています。近くの製茶工場へ一番茶だけ炙ってもらいます。自分で育てた安心なお茶を飲めるのもいいですね。

田も4反ありますから、これからは草刈りで忙しくなります。時間があれば学校の草を刈ってましたから慣れてますよ。古民家を探しながら田の耕作も1年間、同僚の田を借りて初歩から教えてもらい実践してましたので何とかやれましたが、この辺の方はみんな親切でその都度教えてくれますし、よく気遣ってくれます。本当に嬉しいですわ。良くできた人ばかりですね。

今年は雨が少なくて心配しているんですが、時々同じ水利組合のIさんが、心配して電話をくれます。ありがたいですよ。

4反の田んぼですが、たくさん収穫しても食べきれないし余ったお米を販売するのもまだ分からないし、今年は家の近くの一か所だけ作ってます。

昨年は麦も作ってましたよ。蕎麦にも挑戦しようかと思ってます。

​田んぼは主人の担当 畑は私がやっています

茂さんの夢に寄り添っていこうと決心された佳世子さんは季節の野菜を栽培するのが楽しみのひとつ。空気もいいし静かでどこを見ても山に囲まれていて、田舎暮らしが楽しいと言う。お猿の被害がなければ、茶畑を減らしてもっとたくさんの野菜やいろんな種類が作れるのにと残念そう。

園児と一緒にジャガイモなどを作った経験はあったんですが、奈良の家ではプランターで育てるぐらいでしたよ。ですから、旬の野菜をなるべく消毒しないようにして育てられるし、こうして広々とした畑で作るというのがうれしいですね。

もうそろそろジャガイモの芽も出てきますよ。日々眺める野菜の成長も楽しみですね。野菜作りはまだまだ初心者で、種を蒔いたり耕したり水をやったりと細かい段取りが分からなかったんですが、近くのNさんがよく来てくれていろいろ丁寧に教えてくれました。ほんとうに親切にしてもらってありがたいですね。

畑仕事の大変な時は主人がしてくれます。ただ留守の時の水やりが心配でしたが、スプリンクラーを主人が取り付けてくれたので、安心して奈良へ帰れるんです。

​生活の拠点はここなんですよ。でも主人をサポートしていこうと心に決めた時、自分自身も大好きなアレンジフラワーは続けていくことにしました。ですからアレンジ教室はずっと通っているんです。

それで今も毎月奈良の家に帰っているという。

その時は自分で育てた新鮮な野菜も一緒に。お友達や親戚の方にあげるんですよ。

季節の野菜たちが生き生き育っています。お友達や親戚の方にあげると、すごく喜んでくれて新鮮で美味しいと言ってくれますね。みんなの笑顔がうれしいです。こちらへ来た時、金網を山の方へ張っていただいたので、鹿の被害はなくなりましたが、お猿さんがこなければもっとたくさんの野菜が作れるのにね。

​花の大好きな佳世子さん、今年の水仙たくさんの花をつけてくれました。きれいでしょう。

​季節の花を育てるのも楽しみのひとつですね。育てた花はドライフラワーにもよくするんですよ。

​今日の茂さんの作業は畑の土止めにリュウダマ(私達はススダマと言っています)を株分けして植えています。

毎日午前5時頃目覚め、今日の仕事は何をしようかなーと、考えるのも楽しいんですよ。

ふたりの息子がいるんです。一人は佐世保の方へ行ってましてね、上の子は今転勤で家族と共に奈良を離れているんですわ。

「忙しいときはそちらに手伝いにいくからな」と息子の家族たちも言ってくれますが、最近の子どもたちは、ほんとに毎日忙しく過ごしていますからね。でもその心遣いが励みになりますね。

私らがお米を作りや季節の野菜作りをしていることを、なんも言いませんが喜んでくれてるんかも知れませんね。

​「もし奈良で住んでいたら、じっと動かず部屋にいる機会が多かったかも知れませんな」と笑顔がかえってきた。

ちょっと恥ずかしいからこの辺から撮ってな…

と言われましたが…すみません干からびた田が入ってしまいました。

4月中頃過ぎからまとまった雨がなく、七日市でも水不足で困っている方もいましたので、竹田さんの田んぼも心配してました。

連休に奈良の方に帰っていたんです。ちょっと干せてしまいましたんです。

たまに奈良に帰るとみんな集まってきてくれるんやわ。なかなか帰れず一日延びてしまいましたんやわ。こんな干せた田は恥ずかしいなあ。まあちょろちょろ水ですが明日の朝までには溜まると思いますよ。まだ土がひび割れてないから大丈夫だと思います。近くの方も凄く心配してくれて、また電話をくれました。

「自然相手の米作りやからなあー」とポツリともらされた。

どこまでも前向きで楽しく日々過ごしている茂さんです。

​やっとこさ5月14日待ちに待ったまとまった雨が降りました

恵みの雨です。良かったですね。

稲も笑っている…。

​これで稲も夏野菜も元気を出してくれます。

​ほっとしましたよ。

​僕は間があれば散歩するのが好きなんですよ

僕は間があればよくこの辺りを散歩に出かけます。季節の移り変わりを肌で感じられるのがいいです。こちらに来た頃はほとんど飯高の史跡にいきましたよ。お熊ヶ池 泰雲寺 珍布峠 五輪の塔 …二人で行きました。

公民館、住民協主催の行事もなるべく参加させてもらってます。最近では波瀬宿の”田中資料館”が良かったですね。個人で行ってもなかなか中へは入れませんでしたから、うれしかったですよ。飯高町内にこんなにも古い歴史のある物が大切に残されていることにびっくりしましたよ。また、参加することで人との出会いもあり楽しみですね。

人あたりのよいご夫婦、お話していて直ぐに親しみがでてきます。だからこそ移住間もないのに地域の”乳峰神社”の総代も引き受けていただいているのですね。

少々大きな声で言い合いをしていてもお隣さんには聞こえないしとフフフ…と笑う​佳世子さんは、地域の方とも早く馴染みたいとの思いから七笑い合唱団に参加して活躍されています。行事などに参加していますと「遊びに来てね」と声をかけていただくのもお友達が増え楽しいですね。そしてこれからは同年代の仲間との交流がもっと広がればいいなあと…。

​あなた達と出会えて本当良かったですよ。ありがとう

​6月1日、私達取材班2人が久しぶりにおじゃましますと茂さんは、満面の笑顔で「思い切って山の水の事を、組の人にお話したんやわ。水利権のこともお聞きしたんですよ」

それはもう嬉しそうなお茶目な顔で言われるものですから、こちらも頬が落ちそうなぐらい嬉しかったですよ。

「昔はこの辺りも随分と水不足で苦労したんやわ。今は水も使えきれないぐらい余っているし、どうぞどうぞ使ってえなあ」と言ってくれはってな、さっきな、川口住設さんの工事がすんだばかりやねん。いやーこんな報告出来て嬉しいわ。お二人はもう宝物を見つけたような嬉しさだ。

おめでとうー、念願の裏山からの水も使えるようになったし、よかったですね。

田舎暮らしにときめき、また幾多の不安にも打ち勝つほどの準備もされ、そしてこれからも日々新しいドラマを紡いでいくお二人。

農業の知識もあまりなくこの地に知り合いもない《かばた》の地を選んでくださり心から感謝します。

平成30年度Iターン者Uターン者などで飯高に移住された方は27件です。転出された方は42件。減っていくのは本当に寂しいです。

でもいつかこの”かばた”に人々が戻って来てくれることを信じています。

その日のために私達は​日々地域の環境作りを整え、励ましあい助けあっていくことが大切なのではないかと思います。

​竹田さん本当にありがとうございました。