かばたを走る

​かばたを

えっちゃんは、いつも明るく朗らかでみんなの人気者。愛車のカブに乗って、かばたを駆け抜けていく。「えっちゃん、その愛車のカブ、名前は何ていうん?」て尋ねると「名前?名前なんてあらへんがな。あんた、バタに名前付けるなんてヘンやろ?何言うてんねんな、寝ぼけたコト言うとったらアカンで」と素っ気ない返事。えっちゃんのこと、きっとハナちゃんとかバタやんとか、愛称を付けているに違いないと期待していたのに…。「まっつぁかまでは、よう行かんけどな、つるやへ買いもん行くときも、モリモトセンセとこも、ジェイエーへもコレで行くねんで」というわけで、今回はJAで用事を済ませて、”つるや”に寄って買い物をして帰るという設定で、かばたを走ってもらった。えっちゃんをみくびってママチャリで後を追いかけたが、到底えっちゃんのバタには追いつかず息も絶え絶えの撮影となった。    

途中、何度も振り返っては追いかけるのが精一杯のママチャリを待ってくれていたが、ついに辛抱しきれなかったのか、えっちゃんが消えた。すると、ずいぶん先でえっちゃんが原付バイクから降りて休んでいた。「あんた、いくつやねんな、パワーないなあ。そんな輪っかのちっちゃいのん、アカンのちゃうか」「バタはエンジンかけんと重たてしゃあないわ」えっちゃんはそう言いながらバイクを押し始めた。ゆっくりゆっくり自分の気に入ったポイントまで押していく。いざ跨がろうとすると足が地面に届かない。エンジンをかけてもすぐには動かない。ゆっくりゆっくり自分のタイミングを待っている。えっちゃんの中で​、ひとつの儀式が行われている。そしてえっちゃんは軽やかに飛びたった、ように感じた。

国道166号線は、川俣地区を横断している。地域のおじいちゃん、おばあちゃんたちはバイクや自転車、軽トラを使って日々の暮らしを送っている。最近、休日ともなると多くのライダーやサイクリストたちがこの道を疾走する。この地を訪れてくれる人たちが増えるコトは素直に嬉しく思う。ただ166号線は、私たちにとってはドライブコースでもツーリングコースでもなく大切な生活道路。なので、前をトロトロ走るバタと遭遇したときには、やさしく見守ってください。もしそれがえっちゃんだったら、きっと明るく挨拶してくれますよ。

かばたを走るを初めてご覧になる方々のためにおまけの動画2本をチョコッとだけ。

2018春号から

2018秋号から